日本玩具博物館・秋の企画展

魔除神(バイラブ)面/ネパール

世界の仮面とまつりの玩具
●会期  2008年9月13日(土)→ 11月18日(火)
●会場  日本玩具博物館1号館

ガネーシャ神面/インド

 私たちの心の中には、何か別のものに変身したいという願望があります。特に子ども時代にはその気持ちが強く、超能力をもった正義の味方や透明人間や、また美しい物語の主人公 憧れ、変身する夢が暮らしの中にあふれています。
 ふり返って、変身するテレビのキャラクターに憧れた昭和40年代の子どもの心も、秋祭 の露店で武将や金太郎のセルロイド面をもとめた昭和初期の子どもの心も、お寺の縁日で天狗や鬼の張子面をもとめた明治時代の子どもの心も、現実とは異なる世界、あるいは人間を超えた存在を畏れながら憧れるという点で共通しています。子どもの変身願望と「お面好き」は、時を越えて変わらないものなのかもしれません。




メテペック土面/メキシコ
 当館では今秋、世界各地の民族仮面や芸能に用いられる被り物の色々を集めて、生きている仮面の豊かな世界を訪ねます。
  世界を見渡してみると、仮面をもつ民族と仮面をもたない民族があります。前者は、農耕などを生業とし、一箇所に定住して暮らす人たち、後者は各地を移動しながら牧畜などを行う定住しない民族であるという傾向がみられるようです。つまり、定住民族は異界の存在を設定しやすく、外からの力とバランスをとりながら世界観を作り上げているのでしょう。
 本展では、成人式や葬送儀礼、収穫祭などに用いられる精霊や祖霊の仮面、民俗芸能に登場する歴史的ヒーローたちの仮面など、ユニークな仮面の造形を地域ごとに紹介します。日本や東南アジアの国々はもちろん、アフリカ、南北アメリカ、ヨーロッパの各地で伝承される土俗的な仮面には未知の自然に対する畏れや、人間の力を超えた存在への憧れが込められているようです。また、本展には、仮面が登場する祭をテーマにした人形や玩具などを配し、各地のめずらしい祭の風景に触れていただこうと思います。
 世界各地に「鬼」の仮面がありますが、同じ「鬼」であっても、作る民族が違えば、その表現は異なります。仮面に選ばれる素材の普遍性や、作る民族の色と形のユニークさを感じていただきながら、私たちの文化が、なぜ仮面を求めてきたのか、子どもたちがなぜ仮面を愛するのかについても、思い巡らせていただければと思います。

■展示総数 約350点
■展示概要
◇世界の仮面とまつりの玩具………自然の中に在る神を鎮め、悪霊を退散される祭や、豊かな実りに感謝し、生活の安定を願う祭、現実の秩序を打ち破り、新たな世界を創造  する祭など、世界の祭には色々な性格があります。それらに登場する仮面を地域ごとに紹介します。そこには、未知の自然に対する畏れや人間の力を超えた存在への憧れ  という、子どもがお面を愛するのと共通する心が見出されます。
仮面をつけた人形たち
ボリビア ネパール アメリカ合衆国アリゾナ州 韓国
@アジア…………私たちが属するアジアの国々は、土着の神々を敬い祈る仮面の祭、芸術に高められた仮面舞踊、娯楽性の高い仮面の芝居など、豊かなで表現力の強い仮面文化を誇っています。日本はもちろん、中国、韓国、インド、ネパール、インドネシア、それぞれに子どものための仮面文化もまた、古くから伝えられています。同じアジアとはいえ、日本とはまた違った神、精霊、人、動物の表現を紹介します。ペラヘラ祭りの象/スリランカ

     日本=四季の祭礼に登場する獅子頭や張子面(天狗、鬼、おかめ、ひょっと、狐、猿)
     中国=張子の京劇面、土製の虎面、西遊記の仮面など
     朝鮮半島=仮面劇の張子面
     インドネシア=バロンダンスの面、ワヤン・トペンの面、フロッグダンスの面など
     ネパール・ブータン=ティミーの面、チャムの面
     インド=チョウの面、ジャンガンナートの山車
     スリランカ=コーラムの面、ペラヘラ祭の象など


展示風景・アジアの仮面

  
椰子の実仮面/フィリピン       タルチュムの仮面/韓国      新年祭のジジ・ババと獅子の人形/ラオス

Aアフリカ…………アフリカの造形が20世紀のヨーロッパ芸術家に影響を与えたことはよく知られています。アフリカの仮面が世界の芸術家に啓示を与えたのは、精霊や神という目に見えない形、あるいは超自然への畏れという形にならない感情が生き生きと表現されていたからでしょう。ギニア湾岸諸部族の精霊を表現した仮面やザイールの祖先の面などは、人々にとって今も生きて魂をもった存在です。

B アメリカ…………北から南へ、広大なアメリカ大陸には、先住した民族の文化と、世界各地から移民が持ち込んだ文化、それらが混合した文化があります。北方民族の皮製仮面、ホピ族のカチーナ人形、アマゾン諸部族の仮面など、アメリカ先住民の仮面を中心に紹介します。ブラジル・ワウラ族の魚祭の面やメイナコ族のひょうたん面などは、子どもの造形に共通するやさしさと大らかさが感じられます。

     カナダ=トリンギット族の玩具紙面、アナトブクの皮面など
     アメリカ合衆国=ホピ族のカチーナ人形など 
     メキシコ=聖週間の張子面、太陽仮面、オリナラのジャガー面
     キューバ=カーニバル仮面
     ブラジル=カラジャ族の被り物、メイナコ族瓢箪仮面


展示風景・南北アメリカの仮面

土面/ギリシャCヨーロッパ…………ヨーロッパといえば、都市部の仮面舞踏会が有名ですが、農村部古い時代の仮面の祭が今も行き続けています。ここに展示するルーマニアの仮面人形は、鬼や動物たちが太鼓を打ち鳴らして悪霊を追い払い、新年の農耕神を招く年越祭を模したもの。秋田県の男鹿半島に伝わる「なまはげ」の祭に共通する素朴な仮面祭です。


          年越祭の仮面人形/ルーマニア

仮面の題材の共通性と民族性………仮面の題材を大きく分けると、異形の人間、霊力のある動物、精霊や神、それらが合体したものの4つが考えられます。ここでは、国や地域の枠を取り去り、題材ごとに紹介します。
      「鬼」=日本、インド、メキシコなど
      「虎とジャガー」=日本、ミャンマー、メキシコ、タイ、グアテマラ、キューバなど
      「異形の人間」=韓国、インドネシア、グアテマラ、ブラジルなど
      「猿」=日本、インド、タイ、インドネシアなど
        
鬼面(張子)のいろいろ
インド 日本 メキシコ

猿面(張子)のいろいろ
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