NO69

全国凧あげ祭りが終わり、
明日から雛まつり展の展示作業です

                                                  (2012年1月16日 井上 重義)


厳しい寒さが続きますが、当館入り口のロウバイの花が咲き始めました。
 新年早々の8日に第38回全国凧あげ祭りを開催しましたが、その対応に追われて新年のご挨拶が今になりました。本年もよろしくお願い申し上げます。
凧あげ祭り前夜祭での
和やかな交歓風景
凧あげ祭り会場での準備風景

第38回全国凧あげ祭りは、今回も当館の呼びかけに応えて凧愛好家が、新潟、富山、石川、山梨、奈良、京都、大阪、岡山、山口、徳島、
香川、鹿児島など、遠方からも大勢ご参加くださり、地元兵庫勢と合わせると約40グループ400名。来場者も1万人を超えて賑わいました。当日は青森の津軽凧から南は沖縄の八角凧まで日本各地のさまざまな伝統凧が揚がり、大空を舞台にした凧の競演に大きな拍手が起こりました。
 この全国凧あげ祭りは、当館が開館した翌年の昭和50年の新春から館の前の田んぼで、消えつつあった日本各地の伝統凧のすばらしさに光を当てようと凧揚げをしたのが始まりです。回を重ねるごとに参加者が増えて会場が狭くなり、昭和62年から姫路市の協力をえて会場を姫路公園競馬場に移して開催してきました。しかし防災用の貯水池工事が始まるため、この場所での開催は今回で最後です。姫路の市街地には他にこれほどの場所はなく、全国凧あげ祭りは今回で幕を閉じる予定です。私自身35歳から始め、38年もの歳月を積み重ねてきた行事だけに感慨無量で、恒例の凧揚げの実況放送も最後は声が詰まりました。
 長年にわたりご支援ご協力を下さいました皆様に、心から厚くお礼を申し上げる次第です。
                                                    
博物館を取り巻く環境は厳しく、当館の入館者数も年間2万人を割り込むまでになりました。しかし博物館にとって大切な、資料収集、調査研究、教育活動といった博物館の基本活動を忠実に守り実践してきた当館に対して、評価が高まってきたように感じます。昨年秋には九州大学の大学院生6名が担当教官と共にはるばる博多から来館され、当館の豊富な収蔵品と技術普及や教育活動への取り組みに感動したと嬉しいお言葉をいただきました。さらに博物館学専攻の学生たちが教官とともに来館されるケースが増え、私自身にも神戸の大学から博物館学専攻の学生に、当館についての講義をと依頼がきました。
 また来月初旬には奈良女子大学付属小学校4年生の生徒が先生と一緒におもちゃの学習のために、はるばる奈良からこられます。
昨年は平凡社から『ふるさと玩具図鑑』、日本ヴォーグ社から『ちりめん細工のつるし飾りの基礎』と2冊の本を出版しました。嬉しかったのは『ふるさと玩具図鑑』を読んだと長崎と岐阜からわざわざご来館くださったことです。また『つるし飾りの基礎』も早々に再版が決定しました。
 本年も文溪堂の「伝承遊びシリーズ」で、当館コレクションをベースにした『お面』の本が出版予定です。さらに昨年の7月18日から、週刊の『全国商工新聞』に毎週、「おもちゃの世界・その歴史と文化」と題して、所蔵資料を基に尾崎学芸員と私が交互で、いろんな角度からおもちゃについて執筆していますが、それも終了後出版したいとの申し出を受けました。

明日17日夜から、6号館での特別展『雛まつり~江戸と明治のお雛さま~』の展示作業が始まります。クリスマス展の撤収と雛人形展の展示作業は数量も多く大変ですが、江戸期と明治期に絞った「雛人形展」は初公開の資料もあり、格調高い展示は大きな反響を呼ぶものと期待しています。


初公開の大木平蔵製の花車(明治時代) 初公開の弘化3(1846)年製の古今雛


NO68

コピー商品の出現で
世界から伝統玩具が姿を消す現実

                            (2011年12月4日 井上 重義)

美男蔓12月、師走の季節なのに当館の庭は紅葉の真っ盛りです。山茶花や早咲きの椿の花、美男蔓や南天の赤い実
6号館への小道
にも心が癒されます。あと数日は紅葉が楽しめるのではないでしょうか。
今月に入るとクリスマスシーズンということもあってか、6号館の世界のクリスマス飾りをご覧くださる方が日ごとに増えています。来館者からは展示品だけでなく、この6号館への紅葉に彩られた小道が楽しいとのお言葉を何人もの方からいただきました。先日も広島からご来館いただいた方から、遠路来た甲斐があったとのお言葉に喜んでいます。昨日の尾崎学芸員のクリスマスの展示解説会も好評で、遠方からも大勢がご来館下さいました。

これま でにも収集にはタイミングが必要だと、何度も申し上げてきましたが、展示替え毎にそれを実感しています。今回の展示でも約7割が現在では入手不可能です。最近顕著なのが生産者が廃業して入手ができなくなったものが多いことです。その原因の多くは中国製の安価なコピー商品の影響によるもので、例えば可愛いらしい小さな木製人形で有名だったイタ
スウエーデン製の
エンジェルチャイム
リアのセビィ社は1999年に160年の歴史を閉じましたし、スウェーデンで1948年に誕生したローソクを灯すと天使が鐘を鳴らしながらクルクル回る金属製のエンジェルチャイムも世界中で人気があって、日本にも70年代から輸入され、当館も何種類かを購入して展示しています。それが近年見かけないと思っていたら安価な中国製のコピー商品の出現で数年前に会社が倒産、製造中止になっていたのです。それに本場ドイツのクリスマスマーケットなどでも、長年売られてきた麦わら製のオーナメント類や木製玩具もコピーの中国製品が増えており、世界各地で伝統的に作られてきた民芸品の数々がコピー製品の影響で急速に姿を消している状況に複雑な気持ちがします。というのも、当館が長年にわたり復興に努力してきたちりめん細工の分野でも中国製品が出回り、ちりめん細工が粗雑な手芸品として認識される状況が生まれているからです。伝統文化を外国製のコピー商品から守るにはどうすればよいのか、今後の大きな課題です。

博物館にとって、個性的なコレクションの構築こそが大切だと考えており、収蔵場所に四苦八苦しながらも必要なものが見つかれば購入しています。1年先のクリスマス展では日本のクリスマス資料を展示することになりましたので関係資料を収集していますが、嬉しいことに先日、日本で50年ほど前に製造されアメリカに輸出された松かさで作られた小人と、同じくアメリカで製造された貴重なガラスのオーナメントの数々を入手しました。アメリカの骨董市で売られていたものだそうで、入手された方からの購入です。他にも収集にご協力いただいています京都のS様からもロシアで制作の貴重なクリスマス飾りの寄贈を受けました。来期の展示をどうぞお楽しみにしてください。

エンジェルチャイムは最近になってトルコのAras Metal社が製造の権利を取得し、デザインやパッケージなど、当時の姿そのままに作られるようになったことを知りました。しかし、なぜスウェーデンで製造ができなかったのでしょうか。


アメリカ製のオーナメントの箱 アメリカ製のガラスオーナメント 松かさ小人の箱(日本から輸出) 松かさ小人(日本から輸出)




館長室2011

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