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NO132
当館は今年開館45周年を迎えました

                               (2019年1月14日  館長 井上 重義)

新春のご挨拶が遅くなりましたが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
早春の花・蝋梅が咲きました
当館は去る3日から開館しました。新春早々から大勢がご来館下さり、「個人立の博物館と聞いていたので小さな博物館と思って来ましたが、建物も内容もすばらしいです。また来ます」「懐かしさに感動しました」など、来館してよかったと喜びの言葉を再三いただきます。先日は朝早く来館されたご夫妻が閉館までおられ、「一日中いても見飽きませんでした。楽しかったです」と嬉しいお礼のお言葉をいただきました。
また去る7日には、読売テレビ18時からの番組「どうなっten姫路編」で姫路城・セントラルパークと共に当館が紹介され、石田靖さん・若一光司さんらが来館、遊びのコーナーでコマを回していただきました。テレビで見たと来館される方も多く、新年早々明るいスタートになりました。

当館は今年、開館45周年を迎えました。1974年11月に新築した自宅の一部を展示館に、1963年から私が各地を歩き収集した5000点の資料を公開するために井上郷土玩具館として開館しました。当時、私は山陽電鉄神戸本社に勤め、広報誌「山陽ニュース」の企画編集を1971年
本日撮影の外観(左から4号館、3号館、1号館、2号館と並ぶ)
から一人で担当していました。私鉄のPR誌では異色の文化性の高い内容だと高い評価を頂き、1984年に館の運営に専念するため45歳で退職するまで二足のわらじで頑張れたのは、理解ある上司のお陰でした。昨年末、日本博物館協会の特別表彰を受けたことで、故人になられた2人の上司と収集のご指導をいただいた灘高校橋本武先生のご霊前にお供えをさせていただきました。私が今日あるのは温かな目で私を見守ってくださった方がおられたからです。

私は今月25日で満80歳です。24歳から収集をはじめ、展示施設を作ったのが35歳。評価されずに失われようとする子どもや女性の文化遺産を後世に遺すという使命感に燃えました。1990年頃まではこれからは文化の時代だといわれ、将来に明るさが見えたのです。しかし90年代末期から貴重な資料を所蔵する民間博物館美術館の閉館が続きます。最近ショックだったのは北海道の国際染織美術館が2016年12月に休館、東京の原美術館も来年12月で閉館すると知りました。入館者減による財政難からですが、訪問したことがあるすばらしい美術館で本当に残念です。

当館も1997年以降入館者の大幅な減少(年間6万→1.6万人)が続き、本来なら閉館になるところでした。ちりめん細工の材料の通販事業や資料の貸出し料、印税などに支えられ、45年間赤字を出さずに来たのです。先般、博物館運営に詳しい専門家から「公的支援のない民間博物館が、45年間も赤字を出さずに運営できたのは奇跡ですよ」と言われました。
当館はその方針と収集の時期に恵まれ、さらに貴重な資料を寄贈いただいたこと、優秀な学芸員のお陰で玩具博物館としては国内だけでなく、世界でも屈指といえる内容になりました。先日もアメリカから来館された方が、こんなすばらしい玩具博物館はアメリカにはないと嬉しい言葉を賜りました。

当館が所蔵する資料を社会の財産として後世に遺すにはどうすべきか、いろいろ思い悩んでいます。その一案として
大分県日田市の押し絵雛
一般財団法人化の提案があり、去る12月16日に有識者の方にお集まりいただき第1回の会合を開き、一般財団法人化を進めることになりました。

当館は1989年に6号館新築後、膨大な資料を所蔵することから1号館と6号館の2館を企画展会場として、所蔵品による企画展・特別展を季節毎に開催してきましたが、1号館は現在開催中の「世界の伝承玩具展」終了後は平成時代が終わることを踏まえて当分の間、新常設展会場として3月22日から「昭和・平成おもちゃ文化史」展を開催いたします。2号館を含めて昭和初期から90余年の玩具の歴史を追う、懐かしい玩具と出合える楽しい展示です。6号館の展示も近年は高級な衣装雛の展示が続きましたが、4年ぶりにそれらと共に、青森から沖縄まで、全国各地で作られた土雛や張子雛、それに押し絵雛など郷土色豊かな雛人形を展示する「雛まつり~まちの雛・ふるさとの雛」を2月2日(土)から開催します。このような内容の雛展は全国でも珍しいと思います。どうぞご期待下さい。



NO131
日本博物館協会創設90周年の特別表彰を受けました

                               (2018年12月5日  館長 井上 重義)
 ↑美男かずらの実


5号館「ランプの家」の
前庭の紅葉→
師走になりましたが、このところ暖かな日が続きます。当館の庭には今も紅葉がのこり、早咲きの椿が咲き始めて独特の雰囲気を醸し出し、来館者から素敵な庭ですねと再三嬉しいお言葉を賜ります。手入れの行き届かない庭ですが、それが自然あふれる庭として喜ばれているようです。

さて先月28日。東京の上野駅前にある東京文化会館ホールで日本博物館協会第66回全国大会が開催されました。大会では博物館の全国組織が創設されてから今回で90年目に当たることから、それを記念して、永年にわたり博物館振興に多大な功績をあげられた個人と団体に対して、その功績をたたえて特別表彰が行われました。
候補者は各県毎に推薦され、選考委員会で検討されて、全国で個人4名と2団体が顕彰されましたが、その4名の中に私が選ばれたのです。過般、兵庫県博物館協会から私を推薦すると連絡がありましたが、私自身、選ばれるとは夢にも思いませんでした。それに大勢が選ばれると思っていたのが全国で4名と知り、大きな評価をいただいたことに、涙が止まりませんでした。
表彰者は私のほかに、田邉三郎助(日本美術史研究家、武蔵野美術大学名誉教授、町田市立博物館長)、嶋崎丞(陶磁研究家、石川県立美術館長)、岩槻邦男(植物学者、東京大学名誉教授、兵庫県立人と自然の博物館長)と著名な3人の先生方でした。
私は開館以来、現在まで独立採算で運営してきたこと、特色あるコレクションの構築、ちりめん細工の再興活動、ミシュラン・グリーンガイド二つ星に認定されたことなどが評価の要因と思われますが、正直、このような大きな表彰をいただけるとは夢にも思いませんでした。

私は学校で博物館学を学んだわけではなく、1974年の開館後、博物館に関する文献を読み、独学で博物館のあるべき姿を追い求めてきました。幸いなことに開館2年後に兵庫県庁で文化関係を担当されていた朽木史郎さんのお勧めで博物館協会に入会、同会の機関誌『博物館研究』を読み、博物館のあるべき姿を勉強してきました。そして博物館の使命について考え、当館は「評価されずに消えようとする子どもや女性に関わる文化遺産を収集し後世に遺すことにある」と考え、成功例の後追いでなく、当館でないと見ることができない個性的なコレクション群の構築に全力投球で取り組んで来ました。さらに当館には多数の著名な収集家から貴重な資料の寄贈を受け入れたことも、当館の価値を大きく高めることに繋がりました。
当館のコレクションを散逸させないで後世に遺すためにはどうすべきか。大きな課題ですが、有識者の皆さまにお集まりいただき、一般財団法人化の検討会を年度内に開催することになりました。

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