【新収蔵品の紹介】
                                                           
2009年5月
     宮参りの帽子・お食い初めのよだれかけ(日本) 

▲男児用・初宮参りの帽子(明治時代末期)





 日本玩具博物館では、ここ数年、初宮参りや七五三などの通過儀礼の折に使用
された祝い着や帽子、よだれかけ、守り袋(巾着)などの手づくり資料を収集しています。
男児用・初宮参りの帽子(明治時代)▲

 この度、当館とおつきあいのある方を通して、初宮参りやお食い初めに着用された帽子やよだれかけ、約20点を入手いたしました。

 初宮参りは、生後一ヶ月の頃、赤ん坊の誕生をうぶすな産土かみ神に報告し、正式に氏子となるための儀式で、多くの地域で男児は31日目、女児は32目に行われます。
 この儀式には、一般に、男児は五つ紋黒羽二重・大名袖の祝い着、女児は五つ紋裾文様・縮緬の祝い着が用意されます。あわせて、魔除けの赤や吉祥文様をあしらった帽子やよだれかけも作られ、厳かな儀式を愛らしく彩りました。明治時代、男児には、後ろ側に縁飾りのある二枚の「しころ」布を垂らした頭巾が魔除けの力を持つとして、人気がありました。







▲初宮参りの帽子のいろいろ(明治末〜大正期)
 お食い初めは、一生、食べものに不自由由しないことを願い、生後100日目、赤ん坊に歯がはえ始めた頃に行われる儀式です。祝い膳に赤飯や尾頭付きの魚などを並べ、赤ん坊に食べる真似事をさせるものですが、かつては母親たちが手作りしたよだれかけが着用されました。今回、入手したものは、裁った着物の残り裂(縮緬・錦紗・金襴・緞子)を「きりばめ細工」の手法を用いて縫いつなぎ、二匹の鯛や松と座り鶴、獅子舞と牡丹などの絵柄を作るもので、縁飾りがもうけられています。
 二匹の鯛は、「祝い鯛」といわれ、中国から伝わった吉祥の図柄。中国で魚は「yu」と発音します。この音が余裕の「余」に通じることから、余剰、豊穣を意味するおめでたい造形と考えられました。中国文化の影響を受けた「祝い鯛」は、目出「たい」意匠として、日本庶民にも広く親しまれ、将来の豊かさを願うお食い初めの儀式にふさわしいものと考えられていました。

                                        
▲ 初宮参りやお食い初めの儀式に使われたよだれかけ(明治末〜大正時代)
※ 右端は、鳳凰をかたどったよだれかけ。赤ん坊の首元に掛けられたところをご想像下さい。




2008年5月
     リカちゃん&ジェニー (日本)

 去る3月、手工芸専門の出版社日本ヴォーグ社を通じ、株式会社タカラ(現在、株式会社タカラトミー)が製作したリカちゃん
▲日本ヴォーグ社刊・わたしのドールブック・リカちゃんシリーズ
(Licca-chan)とジェニー(JeNnY)を中心とする着せ替え用キャラクタードール約500点とその資料約150点の寄贈を受けました。日本ヴォーグ社は、リカちゃんやジェニーという、玩具メーカーのいわゆるマスプロダクトな人形のための着せ替え服や小物の作り方を提案するシリーズものの雑誌を刊行して、長きにわたり少女たちからの支持を受け続けてきました。その過程で、同社は人形や着せ替え服などを多数所蔵しておられたわけです。当館は、日本ヴォーグ社よりちりめん細工を紹介する書籍(『四季の傘飾りと雛飾り』を発刊しており、現在も新刊を準備中ですが、そのご縁によって、今回の寄贈をお受けすることとなりました。


 ご存知のようにリカちゃんは、1967(昭和42)年の誕生以来、3回(4回)にわたる小さなモデルチェンジを繰り返しつつ、40年以上の長きにわたって少女たちに愛され続けてきた人形。リカちゃんの年齢設定は小学5年生で、低年齢層(3〜6歳ぐらい)の女児を対象としているため、家族や友人たちの人形も数多くを揃えて、ごっこ遊びが展開できる内容をもっています。一方、ジェニーは1986(昭和61)年にタカラバービーから改名して誕生したキャラクタードールで、リカちゃんよりも少し高い年齢層を対象に作られています。基本的なジェニーの設定年齢は17歳ですが、同じジェニーでありながら、様々なバリエーションと限定商品などを持っています。ごっこ遊びを重視する「リカちゃん」に対して、「ジェニー」では豊かなファッション性が強調され、友人たちとのおしゃれな暮らしをテーマにした周辺世界が形づくられています。日本ヴォーグ社という出版社とのコラボレーション、ファッションブランドとのタイアップなどを通じて、少女だけではなく、大人のファンやコレクターが多いことも特徴的でしょうか。

 今回、寄贈を受けた人形の製作年代は、主に1985年から現在まで。ヴォーグ社の石坂文子さんの丁寧な解説メモを参考にしながら、1週間かけて「リカちゃん」と「ジェニー」、その他の人形、それらを説明する資料、書籍にわけて整理を行い、大方のリストが出来上がりました。
▲整理風景・・・・・・1週間の人形漬けにより、ジェニーたちが夢に現れるようになりました。

 


 リカちゃんは3代目、4代目、5代目(1992年製)などの基本的な人形に、幼児、中学生、25歳などの年齢バリエーション、25周年記念のビスク・ドールや初代リカちゃんトリオの復刻版、ボディーが自由にうごくダンシングリカチャンシリーズ、リカちゃんアルバムシリーズなどがあり、ママやパパ、おばあちゃん、双子の妹などの家族、いづみちゃんやあきちゃん、リボンちゃん、みいちゃん、もえちゃん、ななみちゃんなどの友人たち、またそれらの着せ替え服や小物、家具を合わせて、今回約200点です。
 一方、ジェニーは、バリエーションでみると、ノーマルジェニー、エクセリーナ、エイティーンジェニー、プリンセスジェニー、1991年フェイス、レインボージェニー、エンジェルズガーデンジェニー、フォトジェニックジェニーなどほとんどのタイプを網羅し、エリカ、エリー、アヤ、アベル、キサラ、オリーブ、ジェーン、シオン、たまき、ティモテ、フランソワ、リサ、リナ、マリーン、ジェフ、タクミ、レイフなど、賑やかに友人たちが揃っています。また、これらに着せ替える衣装と小物類が非常に多く、すべてを合わせると、300点をこえる資料群です。


▲リカちゃんのいろいろ
左からタカシマヤ・オリジナルのリカちゃん、タカラ株主優待のリカちゃん、中学生リカちゃん、ハッピースマイルリカちゃん
▲ジェニーのいろいろ
左からフェルト服ノーマルタイプジェニー、ニット服のノーマルタイプジェニー、ジェニーズクラブ・プレミアムドール、エクセリーナ
 日本玩具博物館は、すでに1970年代のリカちゃんとその周辺資料を少なからず所蔵しており、少女のごっこ遊びの友として、また昭和の玩具史に欠かせない資料としてこれまでにも折に触れて展示してまいりましたが、今回寄贈いただいた人形資料たちについては、さらに整理した後、これらをどのようにとらえ、私たちのコレクションの中にどのように位置づけていくかが課題です。まずは、来春、3月から6月にかけて、リカちゃん&ジェニーの世界を紹介する企画展を催してみたいと考えていますので、どうぞご期待下さい。詳しい日程や内容が決まり次第、このサイトでもご案内させていただきます。              
(尾崎織女)

日本玩具博物館開館35周年
春の企画展「リカちゃんとジェニーの世界」詳細はこちらのページへ


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