●アフリカ大陸は、大航海時代以降、20世紀に至るまでにポルトガル、スペイン、イギリス、フランス、ドイツなどヨーロッパ諸国の支配を受け、そのことによって有史より長く続いた有形無形の土着文化にヨーロッパ文化が混交し、あるいは屈折して融合し、ひと口にアフリカと言っても、国ごとに異なった文化的様相を見せています。
●20世紀初頭、フランスの植民地となったアフリカの領土から持ち帰られた仮面や神像に出合ったピカソやミロ、クレーなどの前衛芸術家達は、生命力溢れる造形に衝撃を受け、自らの作品の中にアフリカ的造形観を反映させていったと言われています。ヨーロッパで「プリミティブ・アート」、日本の民芸世界で「美の始源体」とも呼ばれるアフリカ造形の中から、本展では、各国の神像、祖先像、仮面、動物造形、生活道具、玩具と人形、遊戯具、楽器を取り上げ、地域ごとに紹介します。
●アラブ・イスラム色がよく表われたエジプト、チュニジア、モロッコなどの「北アフリカ地域」の造形、祖先像や神像などが豊富に見られるギニア湾沿いの「西アフリカ地域」の造形、民族造形を広く世界に向けてアピールするタンザニアやケニアなどの「東アフリカ地域」、造形物の中に民族のアイデンティティーを追及する「中・南部アフリカ地域」に分けて展示します。また、遊戯具や楽器を紹介するコーナーでは、アフリカ大陸全体の特色を探っていきます。
●展示総数350点の玩具や造形を通して、普段あまり接する機会のないアフリカ大陸の国々について想いをはせていただければ幸いです。


展示解説会
『アフリカのおもちゃと造形』
広大なアフリカ大陸の地に花開いた人形文化について、また、現在、製作されている玩具の現状について、代表的な資料を取り上げながら解説します。展示中の楽器の音色もお楽しみいただきます。
●日時………10月9日(日)・23日(日)・11月3日(祝)・13日(日)の14:00〜
●場所………日本玩具博物館1号館展示室
●解説者……当館学芸員・尾崎織女
■秋の企画展『アフリカのおもちゃと造形』関連企画■
アフリカの音とリズム
♪ 2005年秋、日本玩具博物館が開催するアフリカ大陸の造形をテーマにした展覧会には、伝承玩具に加え、アフリカ各地の民族楽器を数多く展示しています。その中から、特徴ある打楽器や弦楽器を選び、その音色とリズムを楽しむ演奏会を企画しました。
♪ 紅葉が美しい季節、当館の中庭や広場にアフリカの音が響きます。
『アフリカのおもちゃと造形』展とあわせ、2回の演奏会へ是非ご来場下さい。
■1回目
親指ピアノ「ムビラ」の音色
ムビラはジンバブエに住むショナ族が14世紀の頃から伝承する民族楽器です。祭礼の時に祖先の霊や自然の精霊と交信するために演奏される神聖な楽器で、日本では親指ピアノの名前で知られています。
10月30日の午後、秋晴れの庭で、このムビラの音色を楽しむ演奏会を開きました。篠山市在住の陶芸家・中村由紀子さんが本場で学んでこられたムビラの伝統楽曲を、仲間の皆さんと5台の楽器を使って演奏していただきました。60名の来場者は、やさしく涼やかな音色に酔いしれました。

ムビラ 演奏会の風景
■2回目
西アフリカの太鼓「ジャンベ」「ドゥンドゥン」の響き
ジャンベは、マリ・ギニア・ブルキナファソ・セネガル・コートジボアールなどの西アフリカ地域特有のゴブレット型片面太鼓で、マディング族が伝えてきたものといわれています。木をくり貫いた胴部に山羊皮を張って作り、紐で首、肩あるいは腰からぶら下げ、両手で叩きます。「ドゥーン・トゥン・カンッ」の三種類の音でリズムを作っていきます。子どものためのリズム、男性の力を誇示するリズム、求愛のリズム、勇敢な戦士を讃えるリズムなど、様々なバリエーションをもっています。
ドゥンドゥンは、ジャンベと一緒に叩かれベースを担当する両面太鼓。普通は木のくり貫き胴に牛の皮を張って作られますが、大・中・小いろんな大きさがあります。
バラフォンは、西アフリカ地方に伝わる木琴で、鍵盤の下に共鳴器としてヒョウタンが付けられています。
11月6日の午後、あいにくの雨模様でしたが、播磨地域を中心に活動する民族音楽グループ・ティーダTeedaの皆さんにお越しいただき、ジャンベ、ドゥンドゥン、バラファンのアンサンブルで、西アフリカの躍動感あるリズムをお聞かせいただきました。しっとりと雨に濡れたランプの家で繰り広げられる異国情緒溢れるリズムに、50名ほどのギャラリーは身体をゆらし、心を躍らせ、愉しいひとときを過ごすことが出来ました。

演奏会の風景